家族KPTについて

KPTという振り返りの手法がある。

  • Keep:  良かったこと・継続すべきこと
  • Problem:  改善したいこと
  • Try:  改善するためにやること

といった内容でそれぞれを書き出して直近1週間を振り返り、改善サイクルを回すための手法である。

会社で毎週KPTを行なっていたのだが、家庭においてもこのフレームワークは有用そうに思ったので、「家族KPT」をここ数年実践している。毎週土曜の午前に一緒にコーヒーを飲みながら、その一週間の良かったこと・良くなかったことを振り返り、改善案を出すのである。幸運なことに妻も乗り気で付き合ってくれている。

Keepの欄は、今週作ったあの料理が美味しかったとか、なかなか掃除してなかったあれを掃除したとか、あそこに出かけて楽しかったとか、そういう話が多い。Problemの欄は、やるべきあのタスクができなかったとか、赤子の夜泣き対応がしんどいとか、良くない生活習慣とか、相手の直して欲しいところとか。そしてTryの欄はProblemそれぞれについて、どのようなアクションを取っていくかを記入する。話をして思い出しながら、パソコンに打ち込んでいく。大体20分くらいで完了する。

家庭で振り返りをするようになって、共同生活を続けていく中でどうしても生まれてしまう摩擦がうまく解消できるようになったと感じる。これまで別々のやり方で20数年生きてきた人間同士が、数年付き合ったくらいで同居しても、必ずどこかで「普通こうでしょ」の相違が顔を出す。それを誤魔化しながら同居を続けることもできるかもしれないが、たぶん長続きしないだろう。そこでKPTがとても役立つ。こうすると嬉しいんだということをKeepで、これは嫌なんだということをProblemでお互い共有し、今後はこうしようということを話し合ってTryに入れる。これを毎週繰り返すことで、相互理解が深まっていく。「普通こうでしょ」の相違がゼロになることはおそらく無いが、それでもゼロに近づける努力をすることに意味がある。

使うツールについても書いておく。会社ではTrello形式のボードでKPTを行なっているので、以前までは家族KPTでもTrelloを使っていたが、最近Google SpreadSheetに移行した。Trelloだとカードや列の数が増えてくると動作が重くなっていたことと、カードを横の列に動かすことはまず無いのでTrelloのようなカンバンである必要が全くないこと、そしてSpreadSheetの方がサービス終了によるデータ消失のリスクが低い(たとえサービス終了になってもExcelCSVにエクスポートできる)ことが移行の理由である。SpreadSheetでKPTを用意すると以下のような感じになる。

KPT用SpreadSheetの様式

1つの日付ごとにK・P・T・備考列の4列用意する(備考列は必須ではない)。最新のKPTは左端に列を4つ追加して行い、右に行けば行くほど古い日付のものに遡れることになる。これだと無限に右に伸びてしまうので、数ヶ月に一度は新しいシートに切り替えるのが良いと思う。列の色は好みに応じて変えれば見やすくなる。

KPTは毎週開催するので、毎回左に4列追加して色をつけて日付を入力して...という作業をするのが億劫になってしまい、先日GASでマクロを書いた。ショートカットキー1発で日付まで自動入力されて列が色付きで左端に追加され、すぐにKPTを始められる状態になるようになり、準備がかなり楽になった。こういうマクロのようなことはTrelloでは多分できないのではないだろうか(できるなら教えてほしい)。

SpreadSheetを使う利点はもう一つある。それは、TryがどのProblemに対してのTryなのかを、同じ行に書くことではっきり示せることである。Trelloの場合はカードの縦幅が文量で変わるため、あるTryがどのProblemに対するTryなのかがパッと見でわからないという問題があった。SpreadSheetの表形式であれば、Problemのすぐ横にそれに対するTryを書けばよいということになる。全てのProblemに対するTryが書けているかどうかもすぐにわかる。

あとはTryをOmniFocusのinboxに詰め込めばいい。OmniFocusについては気が向いたら書こうと思う。